阿波の土柱

 讃岐山脈南麓に沿って,扇状地堆積物と氾濫原堆積物からなる第四紀の堆積物が分布しており,地層の観察に適した露頭が数多く露出しています。これらの中に,徳島県の重要な観光資源の1つになっている”土柱”があります。これは,阿波郡阿波町の讃岐山脈南麓に分布し,砂礫層が雨水の浸食作用により柱状になったものです。土柱の他にこのような特異な地形を示すものは,アメリカのロッキー山中やヨーロッパのチロル地方にしかないといわれています。よって,世界でも数少ない貴重な自然現象です。昭和9年には,国指定の天然記念物になっています。
 徳島自動車道の開通により,徳島市内からも短時間で訪れることができるようになりました。堆積構造がよくわかるので,校種を問わず一度は訪れたい場所です。

1 土柱周辺の地質                                                                                                       

土柱を形成している地層は,おもに讃岐山脈から南流する吉野川の支流により形成された扇状地礫層と,吉野川本流の氾濫原堆積物からなる第四紀の堆積物です。
 この周辺では,讃岐山脈をつくる和泉層群由来の砂岩,泥岩からなる砂礫層が大部分ですが,ところどころに粘土層,火山灰層をはさんでいます。
 写真のように見事な土の柱がカーテン状,柱状に広がっています。一つ一つの柱をよく観察すると土,砂,礫が交互に重なって一つの柱を作っています。土柱の上部は礫層になっている場合が多くこれが土柱の成因と関係しています。


 

 

 

2 土柱の成因

 左の写真は,土柱のクローズアップです。頭の黒い部分は礫層です。砂,土に比べ礫層はかたく浸食に強いためこのような特異な地形が生じたと考えられています。下の図がその概念図です。

 

 

 

 

徳島地質案内へ