@ 次郎鉱山跡

鮎喰川の支流である上角谷川の上流約4キロメートルにあり,野間林道より分岐した林道が,廃坑口まで通じている。しかし,現在は山道工事のため,この近辺への進入は禁止されている。
次郎鉱山は,延宝元年(1673年)ごろ開発され,大正中期に最もさかんに銅の採掘が行われた。(神山町史)
鉱床は含銅硫化鉄鉱床。御荷鉾(みかぶ)緑色岩類の分布域にあたる。

 鉱床って何?
 岩石の中で,特定の鉱物または化学成分が濃密に集まっている天然の鉱物の集合部分。

 * 坑道(地下にある鉱石を掘り出すための道)付近の様子



鉱山跡は赤茶色の岩石でおおわれている。
岩石の観察


 坑道入り口は,立ち入り禁止。
 夏でも冷たい風が吹き出している。

 * 鉱山跡の山から流れ出てくる水



赤茶色の谷水が上角谷川へ流れ込む。


坑道口前に立てられていた看板
水に金属イオンが多く含まれているのがわかる。


 鉱山跡下流の川(上角谷川)で見られる岩石

   強い変成作用を受けている岩石が多く見られる。
 変成作用って何?
   岩石が,できたときとは違った温度・圧力などの条件の下で,鉱物組成や組織が変化する現象。
  一定の鉱物が極端に多くなったり,結晶が並び変わってしま模様ができたりする。

 * はんれい岩      



かんらん石などの有色鉱物を多く含む深成岩

  
磁石がひっつく=鉄を多くふくんでいることがわかる

* チャート



赤いチャートが多い=鉄分が多い


付近の谷沿いの路頭でも,層状のチャートが見られる。

 * 泥質片岩


泥岩が変成作用を受けて,変質した岩石。
一定方向に結晶が並んでいるため,ハンマーでたたくとすぐに割れるので,断面が観察しやすい。
断面に見られる波模様から,変成作用を受けていることがわかる。

 * 緑色岩・・・阿波の青石と呼ばれる。 



御荷鉾(みかぶ)緑色岩類分布域のため,様々な模様や色の緑色岩類が見られる。
結晶が一定方向に並び,しま模様をつくっている。


 さらに,しま模様が波打つような大きな変成作用があったと考えられる。
 色や模様の美しさから,庭石や建築に利用されている。

 そのほかにも,ちょっと珍しい岩石を発見

 * 赤色れき岩


赤色の泥質物が生地で,その中に石灰岩・チャート・玄武岩質岩・花こう岩などのれきを含むため,色とりどりの岩石になっている。
磨いて阿波の名石として土産物などに加工される。

 * 銅の精錬後にできたもの・・・・地元では「みみご石」とよばれている。



小規模ながら銅の精錬も行っていたが,その時できたかす。
気体の抜けた穴がたくさんあいている。鉄分を多く含み,比重が大きく,赤い鉄さびがついている。


 下流の広野地区まで流され,たい積している。
 小さく,丸みを帯びて,表面が碁石のようになめらかなものが多い。

 * マンガン


もっと下流の川原でみつけたマンガン
表面は真っ黒で光沢があるが,割ってみると中はうっすらとピンク色